能勢電鉄は、国土交通省近畿運輸局に「妙見の森ケーブル」(鋼索線)の廃止届を提出していましたが、その廃止日を繰り上げても問題ないことが認められ、最終営業日を2023年12月3日(日)に確定しました。
もはや「参拝者」もほとんど利用なく…
同社は兵庫県川西市で、ケーブルや「妙見の森リフト」(索道線)などを含む「妙見の森事業」を展開してきましたが、近年は利用者の減少が続いていました。イベントや運賃改定による増収努力の成果も得られず、将来的な収支改善も見込めないとの判断です。ケーブルは施設の老朽化に加え、安全運行のためには大規模な更新投資が必要となるため、周辺事業全体からの撤退を決断しました。
妙見の森ケーブルとリフトは、歴史ある日蓮宗の霊場「能勢妙見山」への参拝輸送を目的として1960年(昭和35年)に開業しました。しかし、自動車への転移が進んで参拝者の利用はほとんどなくなり、その機能は失われています。また、生活の足として利用する人も皆無とのことです。
鉄道事業に位置づけられるケーブルの廃止届は、近畿運輸局宛てに2023年6月23日付けで提出されました。この中で廃止日を2024年6月24日と定めていましたが、同局は関係自治体などからの意見を聴取した結果、「廃止の日を繰り上げたとしても公衆の利便を阻害するおそれがない」と認める通知を出しました。
これを受け同社は、廃止日を2023年12月4日(月)とする「廃止繰上届」を提出しました。ケーブルの最終運行日は12月3日(日)で、この日をもってリフトや「妙見の森バーベキューテラス」などの事業についても営業終了となります。
(能勢電鉄「妙見の森事業」の位置図、廃止前に展開する記念イベント、グッズ販売など詳細は下の図表を参照)
妙見山へ最後の「謎解き宝探し」に出かけては?
63年間にわたって展開してきた妙見の森の集大成として能勢電は、営業終了日まで「さよなら・ありがとう妙見の森」と題したキャンペーンを実施します。
ケーブル車両の「ほほえみ」「ときめき」と、妙見線・日生線で運行している電車2編成には、営業終了日まで「さよなら」「ありがとう」と感謝の意を込めたヘッドマークが掲出されます。2両編成で運転する5100系電車2本の車内には、妙見の森の歴史を振り返る写真ギャラリーが展示され、往年賑わったレジャースポットの懐かしい姿がよみがえります。
最後の機会に妙見の森を訪問した記念として、ふれあい広場には「ありがとう妙見の森スタンプ」を押印できる台紙が設置されます。これまで継続的に開催してきた「謎解き宝探し」シリーズのファイナル編も開催されます。妙見山一帯に隠されたキーワードを探しながら周遊する、子どもと一緒に楽しめる企画で、発見したキーワードの数に応じた記念品のプレゼントも用意しているそうです。
ケーブル山上駅や能勢電公式サイト「のせでんショップ」では、終焉する妙見の森をテーマにした記念グッズの販売も行われます。西日本唯一であった「標準軌」(軌間1,435mm)のケーブル車両をデザインした台紙付きの記念硬券4枚セット(1,000円)をはじめ、ヘッドマークを模したミニチュアマグネット2枚セット(800円)、2種類のキーホルダー(各700円)が取り揃えられます。